劇場版スタァライト感想と考察vol.11 奈落に映る”華恋”と”ひかり”、「ねえ」の数は「○○」と同じ!? <競演のレヴュー>でまひるがやったことが凄い話。

アニメ
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劇場版スタァライト、ロンド・ロンド・ロンド再生産上映おめでとうございます。
公開100日突破も舞台創造科としてうれしかったです。

今日は競演のレヴューのお話。
皆さん、奈落でひかりが通った道に”華恋”と”ひかり”が映っていたのはお気づきでしたでしょうか?
なにそれという方は、記事を見る前に是非劇場で探してみてくださいね。
全コマ、目をこらして観てください。

そもそもこの競演のレヴュー、奈落で繰り広げられるのが第一エモポイントだと感じています。
まひると奈落で思い出すのがアニメ5話のまひるとひかりのロッカーでの会話です。
その場面でのまひるのひかりに対するイメージ図が、華恋から降ってくるキラめきを東京タワーで華恋と繋がるひかりが全部奪っていくことで自分にはキラめきが降ってこないという図。

「少女☆歌劇レヴュースタァライト」TVシリーズ5話より

あの時のまひるは自分が星摘みの塔側、奈落側の光が当たらないところにいるように感じていましたが、華恋とのレヴューを通して自分自身のキラめきに気づく話になっていました。
劇場版では、華恋の運命の舞台から逃げたひかりを華恋との最後のレヴューに向かわせるために、奈落にひかりを追いこみ、ひかりの本音を引き出そうとします。

実はよくよく考えると、華恋と一緒にいた時間は、ひかりよりまひるの方が長い可能性があるなと映画を観ていて思いました。
華恋は引っ越しを機に幼稚園に入りますが、ひかりは二人でスタァライトを観た後、ロンドンに行ってしまいます。
華恋がひかりの幼少期の舞台での演技について語る描写が作品にないことから、華恋とひかりが同じ舞台に立ったのは聖翔に入ってからが初めてだと推測しています。
対して、まひるは、ひかりが去って華恋一人になってしまった時間をアニメの時間も含めると2回も近くで見ています。
華恋の苦しみや寂しさが痛いほどそばで見ていてわかるけれど、その原因はひかりのため、自分にはどうすることもできないという状況が、ずっとやりきれない気持ちでいっぱいだったのではないかと思います。

まひるの感情が舞台装置として具現化されるのが奈落からのシーンです。
奈落にひかりが降りた場面では、ひかり色のブルーシートにスズだるが立てかけられ、赤いコーンが2本そばに立っています。
左に青いヘルメットが映るシーンでは右端に赤い板が。
画面奥の青い不燃のゴミ箱が映るシーンでは手前に赤い消火栓。
エレベーター前では、ひかりとまひるの間に赤い籠が設置されています。
ブルーシートはまひるの進路相談シーン、青い不燃のゴミ箱は決起集会シーンで伏線として登場していました。
トイレでまひるとスズだるが出てきた後、同じ道がスズだるで埋め尽くされますが、ひかり色の小道具はスズだるで埋め尽くされて見えなくなってしまいます。対して華恋色の小道具はスズだるは覆いつくさないでいて、一匹のスズだるが華恋を見つめているようにも感じました。
トイレとエレベーター内の局面では、スズだるから赤い血が流れていました。
これは、ひかりが出て行ってしまった後に傷ついている華恋の気持ちの表現や、華恋を見てまひるの中に湧き上がってきた憤りや悔しさの象徴なのではないかと思いました。

東京タワーデッキでまひるがひかりの胸ぐらを掴むシーンは、アニメでひかりが華恋の背中を押して東京タワーから突き落とした場面を彷彿とさせます。
まひるはひかりに「ねえ」と言葉をぶつけますが、まひるの「ねえ」の数は華恋が「なぜ」と言った数と同じ6回です。劇ス本編でまひると華恋は一度も会話をするシーンがありませんが、まひるが華恋を見てきた歳月や、ひかりに対して募る思いが、この6回繰り返される「ねえ」に表現されていたと感じます。
そしてとうとう、ひかりの前に5歳の華恋が東京タワーの影から出てきます。
まひるの「映し出されるよハイライト」でひかりの目に映し出されたのは、初めて会った時の華恋、ロンドンに行ってしまうと聞いて泣く華恋、華恋がくれた運命の髪飾り。
これら全ては、ひかりの華恋に対する罪悪感や後悔が絡んでいるシーンだと感じます。

東京タワーデッキから落とされた先で、ひかりはミスターホワイトのなかで泣きじゃくりながら「こわかったの」と本音を零します。
このミスターホワイト。劇場版のなかではひかりの華恋への気持ちを表すものとして機能していました。
公園でスタァライトのチケットを渡そうとしたら、友達と楽しそうに話している華恋を見て不安になりミスターホワイトの左目をひかりが隠す描写。
二人きりになった後、華恋に「好き?」と聞く場面では、ミスターホワイトの右目が画面に映ったり消えたりを繰り返し、華恋が本当に自分の好きなものを好きと言ってくれそうか、怖いけど華恋には自分の好きなものを好きになってほしいという気持ちの描写。
地下鉄で華恋からラインを受け取る場面では、「新着メッセージです」の言葉にミスターホワイトの両目が完全に見えなくなる、華恋から逃げた状態の描写。
そして競演のレヴューでまひるによってひかりは、ついにミスターホワイトの両目が映る状態のデカホワイトに包まれながら、本音を零すのです。

競演のレヴューの最後では首を折られたはずのミスターホワイトが直されてスズだると赤いゴールテープを持っています。まひるがかけた上掛けのボタンでできた金メダルを首にかけたひかりが走ってテープをきることで競演のレヴューのTが完成し、ひかりは華恋のもとに向かう展開になります。

華恋、ひかり、まひる。この3人はそれぞれが互いの人生の大切なターニングポイントに一番そばにいて支え背中を押し、一人でも欠けていたら成立しない関係で結ばれているトライアングルだったと、アニメ、劇場版を通して感じました。

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