劇場版スタァライト感想と考察vol.3 東京タワーと星摘みの塔についての考察

アニメ
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劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライトについてネタバレありで、東京タワーと星摘みの塔について考察する。
鑑賞11回目で塔のことがある程度整理しきれたので考察をまとめる。

星摘みの塔にかかる赤い糸は、華恋にとってひかりとの運命の赤い糸で、東京タワーの形をしている。
ひかりは塔にかかる糸を解き「運命は変わる 舞台もまた」と言葉を残し華恋のもとを去る。
冒頭は約束タワーブリッジの崩壊が描かれ、二人のスタァライトからの新章の続きが始まる。

5歳のひかりがロンドンに行くとワクワク広場で言い出す場面。
華恋とひかりはアニメでは滑り台の上で会話をするが、劇場版では滑り台から降りたところで会話をしている。
アニメの時間との矛盾に最初は見えて気になってしまったが、これは矛盾ではないと回数を観ると納得ができるようになってくる。
華恋が一度舞台少女として死に、ひかりが華恋へもう一度手紙を送るシーンとここは繋がっていると思う。
滑り台の上でする約束は二人のスタァライトであり、華恋はスタァライトをやりきったら自分には何もなくなると感じることで一度舞台少女として死んでしまう。
このときアタシ再生産するために燃やされた手紙は、過去にひかりが華恋に送った手紙、華恋が大事に写真とともに持ち続けていた、二人のスタァライトの象徴である。
新たにひかりが華恋に送った手紙は、この物語を終わらせるための手紙、最後のセリフを言うための手紙、舞台少女としての愛城華恋が生き返るための手紙である。
あの二つの手紙が矛盾ではないのと同じで、
アニメで滑り台の上で二人のスタァライトの約束を交わした時間も、
舞台からひかりが降り、一人になったときに華恋が舞台少女として行ってきた行動、「私も、ひかりに負けたくない」と行ってきた舞台で生きた時間も矛盾はなく、全ては紛れもなく愛城華恋の青春の時間だったのである。
東京タワーがぼやけて映るのは、華恋のひかりに抱く「運命の、はずだよね」という気持ちの表現ではないか。
この後に赤い二つ星が映り、華恋の王冠、ひかりのキラめきの髪飾りに変わり、それが運命の舞台へのチケットであるとひかりが言う。

中学生の華恋のシーンでは、後ろの新作ドーナツの広告に、東京タワーが描かれている。
東京タワーにはドーナツがかかっている。
ななの言う、おやつの時間に華恋はまだいる。
ドーナツの形が花のようにも見えることから、ひかりとともにスタァライトを目指し、フローラ役を演じたときの自分にまだとどまっていたいという華恋の気持ちの表れかもしれない。
東京タワーの模型が席から落ちるのは華恋にとってひかりとの約束タワーの揺らぎ、ひかりが約束を覚えていてくれているか不安に思う感情をあらわしている。

キリンの燃えるシーンの直前では、空に逆さにそびえる星摘みの塔が映り、キリンが燃えた後に東京タワーに変わる。
逆さの星摘みの塔というと、アニメ5話のまひるの回想シーンで、華恋とひかり側に東京タワーが映り、逆さの星摘みの塔側にまひるが映っていた。
また劇場版の狩りのレヴューでは、逆さの星摘みの塔の映写機によって、ななの見てきた純那が描写される。
逆さの星摘みの塔が表すのは、他者のキラめきに魅了されている側の心情であり、自分には手の届かないもの、引き寄せられる存在、執着などを現していると思う。
キリンはオーディションの主催者であると同時に観客。そして劇場版で新たに意識された、舞台に火を灯すための燃料、糧。
スタァライトの結末を観るために、キリンは自分を燃やして舞台に火を灯し、華恋が最後のセリフを言うために東京タワーという舞台を出現させる。

最後のセリフを華恋が言い終わると、東京タワーが二つに折れる。
冒頭の約束タワーブリッジの崩壊のような、東京タワーが粉々になり横倒しになるのとは違い、
大量の舞台への情熱の血の通ったポジションゼロを吐き出し切りスタァライトを演じきった華恋、スタァライトという砂漠にそびえる大きなポジションゼロに突き刺さるひかり、二人の髪飾りの形にも見える二つのタワーがきちんとそれぞれの舞台に立っているように映り、レヴュースタァライトが閉幕する。

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